RZV500R
2014年 10月 17日
どちらも、家族と子どもの為に泣く泣く手放した。
車と二輪車の車検はキツかったし、車検がないとはいえバリバリのエンデューロマシンを維持していくにはメンテナンス費用も馬鹿にならなかった。
時々ふとまた乗りたくなるのはRZV500Rかな。
RZV500R….
GPマシンの当にレプリカマシン。80年代当時の量産市販車にしては、作りこみもクオリテイの高く、販売価格もべらぼうに高かった。
バイクショップでたまたまプロモーションビデオでRZV500Rが写っているのをみて、「コレがまだ販売してたら乗りたいんだけどな〜」なんてつぶやいたら、店主が、「デッドストックがまだ何台か残っているはずだから」と探しだしてくれたのが始まり。
RZ350ゴロワーズカラーの凶暴ぶりに手を焼き、TZR250のバランスの良い優等生的凶暴さに慣れてきて、再び2ストロークエンジンの爆発的加速力に疼きを感じ始めた頃合いにジャストミート。
まだ中型免許しか持っていなかったのに、オーダーを入れてしまった。
かくしてショップの奥に鎮座したRZV500Rを眺めながら、府中に限定解除試験を受けに行く日々が始まった。
もしかしたら、人生で一番真剣に試験に望んでたんじゃないかな〜
7回目にして限定解除合格。ようやく納車となった日は小雨が降っていた。
それまで乗っていたTZRを下取りに、お別れし、常連客に囲まれながら、RZV500Rのエンジンに火を入れウォーミングアップ。
店主が点検しているうちに水温計は上がっていく。
アクセルをフリップすると、パァンと吠えるエンジン。
いよいよだ、とヘルメットをかぶっていると、その横から常連客の一人がいきなりRZV500Rのシートに跨がりアクセルを煽り始めた。
自分の彼女を強姦された気分にった。
反射的に殴ろうとモーションを起こそうとしたとき、またがった奴のヘラ笑顔に周りの常連客がみな冷たい視線を刺しているのに気がついた。
喜びの一瞬が冷え冷えとした空気に変わった。
店主がまたがった客の肩をたたき、静かにRZV500Rおろすと、すまなそうにボクを見た。
限定解除するまでひたすら愛でつづけた心を理解しているのは皆も一緒。
怒りは静まらなかったが、ヒトコトも喋らずにボクは店を出た。
以来またがった奴とはクチもきいていない。
何十年もたっているのにこいつだけはリアルに思い出してしまう….
出だしは躓いたが、一旦走りだせば、素晴らしい乗り味。
猛然としたパワーに自分のテクニックと度胸で対峙する。
パワーゾーンにはいっときの凄まじい加速は景色が溶けるようだった。
お気に入りのコースは、中央道を小淵沢で下り、清里でモーニングコーヒー。
八ヶ岳のワインディングを周遊し、ロマンチック街道で水上。
そこで温泉に使って心と身体から一気に緊張を開放する。
古めかしい温泉宿の雰囲気を十分味わってから、関越で一気に返ってくる。
というワンデーツーリング。
いい思い出ばかりだが、RZV500Rを乗りこなすところまでは行かなかったな。
小心者のボクがよくもまあ、凶暴な2ストロークマシンに乗っていたものだ。
いいように解釈すれば、求道心が強かった、ということかな。
でも、そればかりでは疲れちゃう。
排気量に余裕があったから、ゆっくりでも走れちゃうから、ずっと乗っていられたのかもしれない。
また、環境問題から二度と2ストマシンは出てこないし、この時代だからこそ乗れるマシンに乗っておきたい、と思った。
結果論かもしれないが、自分には持て余したけれど、生きている実感を強く感じられるマシンにのれたことは素晴らしい体験だった。
だから、また、乗りたくなるのかもしれない。
そんな経緯があってからの今の自転車。
モーターサイクルよりも生きているライブ感を強く感じられるからね。
ロングライドを標榜しながらもアルミフレームに乗っているところはRZV500Rを選んだ時と余り変わっていないかも。
進歩していないな。
秋のスカッと晴れた高い空を仰ぎ見ちゃうと、パァンと跳ね上がるエネルギーの塊になってワインディングロードをRZV500Rで走りたくなっちゃうのね。